PS3:発売を11月初旬に延期 次世代DVD規格遅れで
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は14日、今春に予定していた新型ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の発売時期を11月初旬に延期することを決めた。15日に発表する。ゲームソフトの記録媒体として採用する次世代DVD「ブルーレイ・ディスク」(BD)の規格作りなどが遅れて量産体制が整わないため。世界的なヒットが見込まれるPS3の発売延期は、次世代ゲーム機のシェア争いにも微妙な影響を与えそうだ。
◆シェア争いに影響
 同社は昨年5月、PS3の発売時期を「06年春」と発表していたが、昨年末に業界でまとめるはずだったBDの著作権保護に関する規格策定が遅れ、予定通り量産化できなくなった。関係者によると、今春発売なら当初は50万台程度しか商品をそろえられず、業界が初期出荷に必要と見込んでいた250万台を大幅に下回る見通しになり、品不足による消費者の混乱を避けるため発売を先延ばしすることにした。
 新型ゲーム機では、すでに販売されている米マイクロソフトの「Xbox360」が低価格攻勢をかける可能性があるほか、任天堂も年内に新型機「レボリューション」を発売する計画で、PS3の発売延期で消費者が他社製品に流れる可能性がある。
◆発売に不安?
 発売延期について、片山栄一・野村証券金融経済研究所シニアアナリストは「規格策定が遅れたためではなく売れるソフトとゲーム機の新しい機能が足りないためではないか」と推測する。PS3はスーパーコンピューター並みの高機能を誇るため発売価格は従来機の3万~4万円という水準より高くなることは確実。このため、目玉になる機能やソフトがなければ一気に販売台数を伸ばすことは難しい。
 SCEはこうした指摘を否定。高精細な映画を見る次世代DVD再生機としての機能やネットオークションなどインターネット上のコンテンツ(情報の内容)などを組み合わせた新たなゲームソフトなどを投入すれば十分需要はあると強気にみている。
◆より広い影響も
 現在、米ハリウッドの大手映画会社6社中5社がBD陣営への参入を表明、東芝などが推すHD-DVD陣営を圧倒している。昨年10月、HD支持だったパラマウントが「BD参入の決め手の一つはPS3への搭載」と説明したように、PS3の今春発売の予定がBD陣営の切り札になっていた。その発売時期が延期されたことで、映画会社の姿勢が微妙に揺れる可能性がある。
 またソニー本体の業績に影響を及ぼす可能性もある。2000億円を投じて開発した新型半導体「セル」やBDを搭載したゲーム機だけに、「PS3で失敗は許されない」との声は強い。発売延期が消費者の動向にどう響くのか注目される。【谷口崇子】
毎日新聞 2006年3月15日 3時00分
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